ローヤルゼリーの歴史

ローヤルゼリーと人間とのかかわりは、実はかなり長いのです。
ローヤルゼリーは長い年月をかけて、人間にとっても有益な食べ物として認められてきたというわけです。
ローヤルゼリーと人間との歴史について、簡単に説明していきましょう。

存在自体は2000年以上前から知られていた

ローヤルゼリーそのものの存在は、ローヤルゼリーと名付けられるよりもはるか昔、2000年以上前から知られていました。
古代ギリシャの哲学者、アリストテレスが紀元前4世紀に書いた「動物誌」には「濃厚な、ハチミツに似た淡黄色の軟らかいもの」がミツバチの巣に存在していると書かれており、すでにローヤルゼリーとみられる物質が発見されていることが分かります。
この物質が女王蜂を生み出す鍵になっていることについても突き止めていますから、素晴らしいとしか言いようがありません。
ただ、アリストテレスはローヤルゼリーについて、食べた幼虫が女王蜂になると理解していたのか、ローヤルゼリーが固まって女王蜂になると考えていたのかについては、意見が分かれています。
ミツバチの幼虫の体長が1ミリ前後と小さいうえ、ローヤルゼリーの中では発見しにくいことを考えると、後者の説を取った方が自然かもしれません。
いずれにしても、この時点ではローヤルゼリーという名前は付いていません。

ローヤルゼリーの名前は200年前から

では、ローヤルゼリーという名前はいつ付けられたのでしょうか。
初出はスイスの博物学者、フランソワ・ユーベルが1792年に著した「ミツバチに関する新たな研究結果」という書物です。
全盲であったユーベルが助手の力を借りてミツバチの生態を研究し、まとめたもので、現代においてもミツバチの生態を知るための重要な資料となっています。
この書物の中に「ゼレー・ロワイヤル」という名前でローヤルゼリーが紹介されています。
発見されてから2000年たって、ようやく名前が付いたというわけです。
人間は紀元前6000年ごろにはすでにハチミツを食べていたという記録が残っていますから、名前が付くまでには気が遠くなるような年月が必要だったというわけです。
この時代においても、ローヤルゼリーそのものを食べていたかどうかまでは、はっきりとは分かりません。
ハチミツの採取技術が現代ほどのレベルにありませんので、ハチミツに混ざっていたローヤルゼリーを知らず知らずのうちに食べていた可能性までは否定できません。

世に出るきっかけはローマ法王の病気

ただ、現在のようにローヤルゼリーが人間の体にさまざまな良い影響を与えることが広く知られるようになったのは、20世紀の中頃になってからです。
1950年代になると、ローヤルゼリーはフランスで「魔法の液」との触れ込みで販売されるようになりました。
54年に当時のローマ法王だったピオ12世が危篤状態に陥った際、主治医が法王にローヤルゼリーを投与したところ、見事に回復したのです。
この臨床例については翌年にローマで開かれた学会で報告され、58年には法王自らが自分の命を救ってくれたミツバチをたたえるスピーチを行ったのです。
これがきっかけとなってローヤルゼリーの効果が全世界的に知られ、広く研究が行われるようになっていったのです。
女性の更年期障害の症状緩和をはじめとする効果も、近年の研究の中で確認されたものなのです。

日本のローヤルゼリーの歴史は？

では、日本におけるローヤルゼリーの歴史はどのような感じなのでしょうか。
日本人とミツバチとの関係も意外に古く、7世紀にはすでに養蜂を試みて失敗したという記録が残っているのです。
8世紀には天皇にハチミツが献上されたという文献も発見されています。
ただ、ローヤルゼリーについての記述はなく、日本において初めて名前が出てくるのは、1889年の農学博士、玉利喜造氏の紹介によるものです。
それ以降も決して注目度が高かったとはいえませんが、前述のローマ法王の体調回復のニュースが伝えられたことをきっかけに、急激に関心が高くなっていくのです。
1959年、ある週刊誌が「不老長寿の新薬」として紹介したことも知名度アップを後押しし、その後の盛んな研究につながっていきました。
79年にはローヤルゼリー製品の品質向上を目指して日本ローヤルゼリー公正取引協議会が設立され、87年には社団法人として認可、2012年には一般社団法人となっています。
同協議会によって生ローヤルゼリー、乾燥ローヤルゼリー、調製ローヤルゼリーの定義が定められています。
サプリメントといえばしばしばその品質が問題となりますが、ローヤルゼリーについては同協会の定義が、一定の品質を持った製品の流通・入手に役立っています。