ローヤルゼリーの産地(ニュージーランド)
ニュージーランドはマヌカハニーの生産地として有名であることからも分かるように、養蜂が盛んな地域です。ただ、ニュージーランド産ローヤルゼリーは日本では必ずしもメジャーな存在ではありませんし、生ローヤルゼリーとなるとほとんど見かけることはありません。
ローヤルゼリー産地としてのニュージーランドにはどのような特徴があり、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
養蜂に最適とは言えないニュージーランド
ニュージーランドはほぼ全域が西岸海洋性気候に属しており、比較的寒暖差が少なめです。ただ、養蜂に適しているかどうかとなると、ベストとは言えないのも確かです。
南半球であることはメリット
ニュージーランドは南半球の島なので、ローヤルゼリーの生産という点では有利な要素になります。中国北部や欧州などのように、冬場に花が少なくローヤルゼリーの材料調達が難しい地域では、秋以降のローヤルゼリー採取も簡単ではありません。
亜熱帯や熱帯にように、恒常的にローヤルゼリーを生産することができないのです。
ニュージーランドは南半球にあるため、中国北部などのローヤルゼリー生産量が低下する時期から、生産量を増やすことができるのです。
これは、需要と供給のバランスを考えれば、有利な条件と言っていいでしょう。
南島は気温が低くなるのが問題
ただ、肝心の気候条件となると、ニュージーランドが必ずしも最適とはいえません。なぜなら、冬場は気温がそれなりに低くなるため、恒常的にローヤルゼリーを採取することは不可能だからです。
特に南島では、冬場の最低気温が氷点下になることも珍しくありません。
ミツバチは基本的に寒さに弱く、気温の下がる時期には活発に動くことができなくなってしまいます。
実際、日本では冬場の気温が低くなる北海道においては、ミツバチの野生種は確認されておりません。
また、気温が低いと、ローヤルゼリーの材料となる花粉や花の蜜の入手も簡単ではなくなります。
ニュージーランドが有利なのはあくまでも季節の推移が北半球の逆になっている点だけであって、気候そのものは日本と比較しても有利とは言えません。
国土の狭さも不利な要素に
これに加えて、ニュージーランドは島国ゆえに「国土が狭い」という問題点も存在しています。国土が狭いということは、ミツバチの生育数も限られているということです。
同じ南半球のローヤルゼリー生産国であるオーストラリア比べると、国土面積は30分の1程度にすぎません。
必然的にオーストラリアのようにミツバチの個体数を増やすことはできず、ローヤルゼリーの生産量も国土のサイズに合ったものになってしまうというわけです。
マヌカハニーのように特殊な効果があるのならともかく、同じローヤルゼリーという土俵上では、どうしても国土が広く、生産量そのものの多い中国やオーストラリアより不利になってしまうのも致し方がないところでしょう。
日本市場では「鮮度」も問題になる
これに加えて、日本市場におけるニュージーランド産ローヤルゼリーには、もうひとつの不利な点があります。日本までの距離があるため、ローヤルゼリーの鮮度を保つことが簡単ではないのです。
保存性が高くない生ローヤルゼリー
ローヤルゼリー製品の中でも、生ローヤルゼリーの保存性は高くありません。ローヤルゼリーを採取直後に瓶詰めするという製法上、やむを得ないことなのですが、熱や紫外線によって成分が変質しやすいため、冷蔵庫のチルドルームでの保存が推奨されているほどです。
そして、この保存の難しさが、ニュージーランド産の生ローヤルゼリーを市場であまり見かけない理由でもあるのです。
距離が遠いと鮮度を保つのは難しい
日本からニュージーランド北端のオークランドまでは、飛行機で10時間ぐらいかかります。オークランド近郊でなければ、さらに輸送時間が必要となってきます。
輸送費を抑えるために船便を利用すると、さらに時間がかかってしまいます。
ローヤルゼリーの主な輸入先である中国や台湾はもちろん、東南アジアやオーストラリアと比較しても大きなハンディです。
マヌカハニーのようなハチミツは保存性が高いため、こうした所要時間は大きな問題とはなりませんが、ローヤルゼリーの場合はそうはいかないというわけです。
ニュージーランド産の生ローヤルゼリーをほとんど見かけないのは、遠距離輸送が必要なため鮮度を保つという点では不利なためです。
乾燥ローヤルゼリーなら入手可能
とはいえ、保存性が比較的高い乾燥ローヤルゼリーならば、ニュージーランド産の製品を入手することも難しくありません。価格面では100グラムが6000円弱と、国産と比較すればリーズナブルに設定されています。
環境汚染が中国ほど進んでおらず、安全性の面では特に問題はありません。
たまには変わったローヤルゼリーを摂取してみたいと思っている人は、試しに買ってみるのもいいのではないでしょうか。