ローヤルゼリーの産地(オーストラリア)
ローヤルゼリーの大半は海外からの輸入に頼っており、その中でも中国が最大のシェアを占めています。オーストラリアは養蜂が盛んではありますが、距離があることから中国ほどメジャーな輸入先ではありません。
ただ、気候条件の違いなどから、最近ではローヤルゼリーの生産地として注目度が上昇しつつあります。
ローヤルゼリー生産地としてのオーストラリアの特徴や、オーストラリア産ローヤルゼリーのメリット・デメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか。
ローヤルゼリー産地としてのオーストラリア
オーストラリアをローヤルゼリーの産地として見たとき、メリットと言える点は3つあります。・国土が広大なうえに人口が多くないためミツバチが生育しやすい ・年間を通じて気温が高めで恒常的にローヤルゼリーを生産できる地域がある ・南半球なので北半球のローヤルゼリーとは生産ピークが逆になる それぞれのメリットについて、簡単に説明していきます。
広大な国土なうえ人口が少ない
ミツバチは人間が多い場所では育てることが難しい生き物です。基本的に攻撃性は低いのですが、人間を見ると警戒して攻撃してくる可能性が否定できないためです。
実際、日本でも養蜂が行われているのは、人があまり住んでいない山間部です。
オーストラリアの国土面積自体は約770キロ平方メートルで、ローヤルゼリーの最大の輸入先である中国(960平方キロメートル)よりは狭いものの、人口は中国の約13億人に対して約2400万人しかおらず、養蜂に適した人が少ない土地には事欠きません。
このため、オーストラリアでは養蜂が盛んで、さまざまな新技術も開発されています。
年間を通じて気温が高い地域がある
オーストラリアは上述のように国土が広いため、気候条件もさまざまです。ケアンズをはじめとする北部の熱帯地域では、最も気温が低い時期でも最低気温が15度を下回るようなことがほとんどありません。
そもそも、ミツバチは基本的に寒さに弱い生き物で、比較的寒さに強いとされるニホンミツバチですら北海道には野生種が存在できません。
オーストラリア北部の高気温は、ミツバチが常に活発に活動できることにつながります。
また、日本は冬場に咲く花が少なく、年間を通じてローヤルゼリーの原料である花粉や花の蜜が調達できる環境にないのに対し、オーストラリア北部ならば年間を通じて花が咲いているため、ローヤルゼリーが安定的に生産できるというわけです。
生産のピークが北半球と逆
ただ、同じオーストラリアであっても、砂漠地帯ではミツバチの生育は不可能です。また、南部は日本と同様に四季があります。
日本の冬ほど冷え込むわけではありませんが、恒常的なローヤルゼリーの生産向きとは言えません。
ただ、オーストラリアは南半球にあるため、ローヤルゼリーの生産ピークは北半球の国々とは違います。
オーストラリアの場合、北半球では秋から冬に当たる時期が春と夏になり、ローヤルゼリーの生産量が減る時期から増えていくようになっているのです。
つまり、日本や中国北部、欧州などでのローヤルゼリーの生産量が少なくなってきた時期に、オーストラリア南部のローヤルゼリーの生産量が増えていくことになります。
他の時期の供給が少なくなってきた時期に、供給量を増やすことが可能になっているわけですから、これは生産地としては大きなメリットと言えそうです。
オーストラリアの泣き所は「距離」
とはいえ、オーストラリアにも生産地としての泣き所はあります。それは「距離」です。
保存性に難のある生ローヤルゼリー
ローヤルゼリー製品の中でも、巣から採取したものを瓶詰めしている生ローヤルゼリーは、熱や紫外線などによって成分が変質してしまいやすいという問題点を抱えています。このため、国内産のローヤルゼリーですら、採取後は冷凍保存し、購入後は冷蔵庫のチルドルームでの保存を推奨しています。
保存性を高めるためには、保管に気を使わなければならないのです。
超距離輸送が鮮度に影響
オーストラリアの場合、所要時間は航空機の場合、ケアンズで8時間半、シドニーで9時間半です。台湾や中国、東南アジアと比較しても、輸送に長い時間がかかるのです。
輸送コストを抑えるために船便を利用すれば、さらに時間がかかってしまいます。
こうなると、輸送中にローヤルゼリーの鮮度が低下する可能性が否定できないのです。
オーストラリアがミツバチの生育に有利な条件を備えていながら、日本でのローヤルゼリー販売量が中国よりかなり少なくなっているのは、距離による鮮度低下の問題が影響しているからです。
まとめ-生産条件は有利だが距離が問題
オーストラリアは広い国土、高めの気温、少なめの人口という、養蜂に適した条件を持っているため、ローヤルゼリー自体の生産には打って付けです。日本にオーストラリア産ローヤルゼリーが輸入されているのも納得はいきますが、距離があるため鮮度を保つという点で不利なのが、日本市場でのネックになっているようです。