ローヤルゼリーの成分（グルタミン）
アミノ酸の中には、アスパラギンとアスパラギン酸、ロイシンとイソロイシンのように、紛らわしい名前のものがあります。グルタミンもそのうちのひとつで、グルタミン酸と混同されることが多いです。
グルタミンは体内で生成することができる非必須アミノ酸の一種で、ローヤルゼリーにも含まれています。
グルタミンの効果や、グルタミン酸との違いなどについて説明していきましょう。
グルタミンとグルタミン酸はどう違うの？
似たような名前を持っている2つのアミノ酸ですが、実はグルタミンはグルタミン酸が原料となっているのです。人間の体内では、グルタミン酸にアンモニアが結合することでグルタミンが生成されています。
これは、有害物質を体内で無毒化することにつながっています。
エネルギー生成にタンパク質を分解してできたアミノ酸を使用すると、アンモニアが生成されます。
また、腸内の悪玉菌によって生成されたアンモニアが吸収されることもあります。
血中のアンモニア濃度が上がりすぎると、意識混濁や呼吸障害を起こし、命にかかわるケースもあります。
つまり、グルタミンの生成によってアンモニアという有害物質を無毒化しているというわけです。
グルタミンにはどのような働きがあるの？
名前が似ていても別の物質である以上、グルタミンはグルタミン酸とは違った働きを持っています。主な効果としては筋肉トレーニングの効果アップ、免疫力の向上、腸の働きの活発化、アルコールの分解を助けることなどが挙げられます。
筋肉トレーニングの効果アップ
グルタミンは体内ではタンパク質を構成しない遊離アミノ酸となっていることが多く、筋肉などを動かすためのエネルギー源として活用されています。筋トレなど激しい運動によってエネルギーが一気に消費されると、糖質や脂質、遊離アミノ酸だけでは間に合わなくなり、筋肉のタンパク質を分解してエネルギーにしてしまいます。
この場合は筋肉が「すり減る」ことになり、筋トレの効果が落ちてしまいます。
グルタミンを補給することで筋肉のタンパク質の分解を防ぐことができれば、筋肉がすり減るようなことがなくなり、筋トレの効果がより大きくなることが期待できるのです。
免疫力の向上
マクロファージは白血球の一種で、体内に入ってきた病原菌をはじめとする異物を捕食することで、さまざまな疾患の発症を防ぐ役割を持っています。マクロファージが活発に働いていれば、捕食される病原菌が多くなり、病気になりにくくなるというわけです。
グルタミンはこのマクロファージのエネルギーとなって活性化させ、免疫力を高めてくれる効果があるのです。
マラソンランナーにレース完走直後と2時間後にグルタミンを投与したところ、風邪などの発症率が投与しなかったグループの4割程度に抑えられたという臨床試験のデータがあり、免疫力アップに一定の効果があることがうかがえます。
腸の働きの活発化
さまざまな栄養素を吸収する小腸の内部には、絨毛と呼ばれる突起がたくさんあります。絨毛の中には毛細血管が通っており、栄養素の吸収はここから行われるのです。
グルタミンは絨毛を機能させるためのエネルギーとなっており、グルタミンの摂取によって腸の働きが活発化するのです。
もし体内のグルタミンの量が不足していると、絨毛の機能が低下し、栄養素がうまく吸収できなくなります。
これではせっかく体の役に立つ栄養素を摂取しても、無駄になってしまいます。
それどころか、グルタミンの不足によって絨毛が薄くなり、潰瘍ができる原因となってしまうこともあるのです。
あらゆる栄養素を有効活用するためには、グルタミンが欠かせないと言っても過言ではないでしょう。
アルコールの分解を助ける
ラットにアルコールの入った餌を与えると、アルコールの影響で運動機能が低下します。ところが、グルタミンとアラニンを投与したラットは、投与していない個体と比較すると早い時期に運動機能が回復したのです。
この実験結果から、グルタミンにはアルコールの分解を助ける働きがあるとされています。
肝臓の大半を切除したラットにグルタミンとアラニンを与えると、肝機能の再生が促進されたという実験結果もあり、これらのアミノ酸は肝機能そのものをアップさせることで、アルコールの分解を助けているのではないかとみられています。
ちなみに肝機能障害のラットは、グルタミンとアラニンの入った水を積極的に飲む傾向があることも分かっています。
まとめ－グルタミンは「体を動かす」アミノ酸
グルタミン酸がタンパク質を生成する際に原料となる「体を作る」アミノ酸であるのに対し、グルタミンはタンパク質によって作られた組織のエネルギーとなる「体を動かす」アミノ酸というイメージです。似たような名前であるにもかかわらず、これだけ明確に働きが違っているというのは、ちょっと面白いかもしれませんね。
