ローヤルゼリーのできるまで
ローヤルゼリーはミツバチによって作られる食べ物のひとつですが、どのようにして作られるのかについては知らない人も多いのではないでしょうか。ローヤルゼリーができるまでの過程について、簡単に説明していきましょう。
ローヤルゼリーは働き蜂が作る
ローヤルゼリーを作るのは、働き蜂の仕事です。ミツバチの巣には数万匹の蜂がいますが、働き蜂はこのうち9割を占めています。
ただ、ローヤルゼリーを作ることができるのは、働き蜂の中でも若い個体のみだとされています。
どのようにして作られるのか
ローヤルゼリーは、花粉を主な原料として作られています。若い働き蜂が花粉やハチミツを食べると、体内でローヤルゼリーに加工され、上顎や下顎から分泌される仕組みになっています。
ローヤルゼリーを分泌することができるのは成虫になって間もない若い働き蜂のみで、成虫になってから時間のたった個体では生成することができないとされています。
細かい製法については、現時点では解明されていない部分も多いです。
もし解明されれば人工ローヤルゼリーの製造も可能でしょうが、現時点ではミツバチの働き蜂がいなければ作ることのできない貴重な食べ物だというわけです。
同じ蜂であっても花粉を食べない肉食のスズメバチや、小集団で生活しているためそもそも女王蜂も働き蜂も存在していないクマバチには作ることができないのです。
幼虫にはどのようにして与えられるの？
では、女王蜂の幼虫にはどのようにしてローヤルゼリーが与えられているのでしょうか。実は女王蜂も働き蜂も、生まれたときは同じ雌の幼虫で、全く差はありません。
ローヤルゼリーを与えられれば女王蜂に、与えられなければ働き蜂になるというように、後天的に違いが出てくるのです。
ただ、女王蜂になる個体はあらかじめ決まっており、別の個体に間違ってローヤルゼリーが与えられないようにするために、特別な巣穴で育てられています。
この巣穴を「王台」といい、若い働き蜂によって作られたローヤルゼリーは、ここに貯められるようになっています。
幼虫はお腹が空いたらローヤルゼリーを食べて成長し、女王蜂になっていくというわけです。
女王蜂の幼虫は1つの巣に数匹しかいないので、ローヤルゼリーの生成量もそれに合わせてかなり少なくなっています。
ちなみに女王蜂として育てられる幼虫になるか、働き蜂の幼虫になるかの選別は女王蜂によって行われていますが、選定基準については女王蜂に聞いてみるしかなさそうです。
実は「王台」にも種類がある
前述のように、ローヤルゼリーは女王蜂の幼虫が住んでいる王台に貯められています。ただこの王台、実は3つの種類があるのです。
分娩王台と換王王台、変成王台です。
最も一般的な分娩王台
ミツバチは1つの巣に数万匹が住んでいる大家族ですが、それでも巣に住める個体数には上限があります。このため、春の繁殖期前になると、巣分かれをするために、新たな女王蜂を育てる王台が作られます。
これが分娩王台で、王台の中では最も一般的です。
女王蜂が、巣の端の方に作るのが一般的です。
最も作りのしっかりした王台だとされていますが、ミツバチの繁殖シーズンが限られているため、1年中ずっと存在しているわけではありません。
ちなみに養蜂農家では巣分かれしないようにするため、分娩王台ができると取り除くようにしています。
次の女王蜂を育てる換王王台
人間に寿命があるように、ミツバチにも寿命があります。寿命が近づいた女王蜂は産卵数が減少し、そのままでは巣の存続にかかわる事態になりかねません。
このようなときに、次の女王蜂を育てるために作られるのが換王王台です。
こちらも女王蜂が巣の端の方に作ります。
分娩王台と違い、巣分かれにつながることがないため、養蜂農家では換王王台ができても取り除くことはありません。
緊急時に作られる変成王台
何事にもアクシデントは付き物で、何らかの理由で巣から女王蜂がいなくなってしまうこともあります。このままでは巣を維持することができないので、働き蜂が卵を生んで、新たな女王蜂を育成していくことになります。
このときに作られるのが変成王台です。
女王蜂が作るわけではないので、分娩王台や換王王台と違い、巣の端の方だけではなく、中心部にも作られます。
ある養蜂場のサイトでは、ミツバチのこのような修正を利用し、巣に女王蜂がいない状態を人工的に作り出して変成王台を作らせ、季節に関係なくローヤルゼリーの採取を行っていると説明しています。
まとめ－ローヤルゼリーは貴重な食べ物
王台の種類に違いがあっても、内部にローヤルゼリーが貯められている点では同じです。1つの王台から採取できるローヤルゼリーは、わずか300ミリグラムにすぎません。
100グラムを採取するための苦労は、想像することもできません。
ローヤルゼリーはかなり貴重な食べ物だというわけで、保管に気をつけて、大切に摂取していくようにしていきましょう。
