ローヤルゼリーの成分(シスチン)
ローヤルゼリーに含まれているアミノ酸では、人間の体内で生成することができない9種類の必須アミノ酸が注目されがちですが、それ以外の非必須アミノ酸も重要な働きを持っています。シスチンもそうした非必須アミノ酸のひとつで、主に美容面で効果を発揮してくれることで知られています。
ローヤルゼリーが美容に効果的とされている理由のひとつは、このシスチンの存在なのです。
なぜシスチンが美容に効果があるとされているのか
シスチンが美容に効果があるとされているのは、日焼けを防いで皮膚の保湿力を高めるなど、肌の状態を整えることが期待できるためです。また、AGA(男性型脱毛症)をはじめとする薄毛に悩んでいる人にとっては、育毛効果も望めます。
日焼けを防ぐ
紫外線の照射などが原因で起きる日焼けの原因は、体内で生成されるメラニン色素です。メラニン色素は紫外線によるダメージを防いでくれるため、なくてはならないものなのですが、生成量が多すぎると皮膚からの排出が間に合わなくなり、シミの原因となってしまいます。
メラニン色素の生成にはチロシナーゼという酵素が必要ですが、シスチンはこのチロシナーゼの生成を防ぐ働きがあるのです。
シスチンによってチロシナーゼの量が減ればメラニン色素の生成が抑えられ、シミの防止につながることが期待できるというわけです。
肌の保湿力アップ
皮膚の表面にある角質層は、内部の水分を蒸発させないようにするためのバリア効果を持っています。角質層がある程度しっかりしていないと、皮膚内部の水分が蒸発し、乾燥しやすくなってしまいます。
この角質層の主成分は、ケラチンというタンパク質です。
ケラチンは食物から摂取することができないタンパク質なので、体内のアミノ酸から生成するしかありません。
実はケラチン生成において最も比率が高いアミノ酸が、シスチンなのです。
ローヤルゼリー摂取によって体内のシスチンの量を増やすことができれば、ケラチンの生成量がアップし、角質層が整えられます。
これによって肌の保湿力がアップし、乾燥による肌荒れ防止に役立ってくれるというわけです。
育毛効果
上述のケラチンは、頭髪の主原料でもあるのです。つまり、シスチンを積極的に摂取することでケラチンの生成量が増えれば、頭髪の成長力がアップし、薄毛対策になる可能性があるのです。
薄毛といえばAGAばかりが注目されがちですが、実際にはそれ以外にもさまざま原因があり、複合的な要因によって薄毛になっているとされています。
特に女性の場合、薄毛の原因となりやすいのは、過剰なダイエットによってシスチンの摂取量が不足し、ケラチンの生成量が減ってしまうことです。
体内のケラチンが不足すると、なくなっても生命維持に関係がない頭髪は真っ先に切り捨てられ、薄毛を招くというわけです。
余談ですが、頭髪が焦げると火薬のようなにおいがしますが、これはシスチンが硫黄を含むアミノ酸だからです。
グルタチオンになって抗酸化作用を発揮
シスチンはケラチンの原料となるほか、グルタミン酸、グリシンと一緒にグルタチオンというペプチドになります。このグルタチオンには、体内の活性酸素という物質の働きを抑える抗酸化作用があるのです。
活性酸素は体内に入ってきた病原菌を退治してくれるなど、免疫力をアップさせる働きがあります。
ただ、活性酸素が増えすぎると正常な細胞も傷つけてしまうことが問題です。
細胞が傷つけられた組織は劣化し、老化の原因となってしまいます。
また、体内で過酸化脂質を生成し、動脈硬化や脂肪肝を招いてしまうこともあります。
シスチン摂取によってグルタチオンの生成量を増やすことができれば、活性酸素による組織の劣化を防ぎ、アンチエイジング効果につながることが期待できます。
また、過酸化脂質の生成を抑えることで、動脈硬化をはじめとする生活習慣病の予防にも役立ちそうです。
シスチンにも「泣き所」はある
ただ、そんなシスチンにも「泣き所」はあります。それは、過剰摂取によって、膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」の効果をダウンさせてしまう可能性があることです。
インスリンは血中の糖分を筋肉などに取り込むことで、血糖値を下げてくれる働きがあります。
このインスリンの効果が弱くなると、血糖値がなかなか下がってくれなくなります。
糖尿病の原因のひとつは、インスリンが分泌されていても効果がダウンし、血糖値が下がらなくなる「インスリン抵抗性」です。
シスチンの過剰摂取は、このインスリン抵抗性を高め、糖尿病の引き金になってしまう可能性があるのです。
過剰摂取によって尿内のシスチンが増えると、膀胱結石を招く可能性があることも問題です。
シスチンは美容のためになくてはならないアミノ酸ではありますが、過剰摂取によって健康に悪影響を与える可能性があることについても、ちゃんと把握しておいた方がよさそうですね。