ローヤルゼリーの産地(タイ)
日本で流通しているローヤルゼリーのうち、国内産はほんのわずかで、大半が海外からの輸入品です。輸入先としては中国が占める割合が最も多く、タイは比較的マイナーな部類に入ります。
ただ、タイの気候そのものは養蜂に適しているため、次第にローヤルゼリーの生産地として注目を浴びつつあります。
ローヤルゼリーの産地としてのタイの特徴や、タイ産ローヤルゼリーのメリット・デメリットなどについて、説明していきましょう。
ミツバチの生育に適しているタイ
ミツバチはあまり寒いのが得意ではないため、日本は必ずしもミツバチ向きの気候とは言えません。逆に気温の高いタイは、ミツバチの生育には適した環境だといえます。
実は寒いのが苦手なミツバチ
実は日本で野生種として存在しているミツバチは、ニホンミツバチという比較的寒さに強い種なのです。ニホンミツバチはマイナス10度前後まで気温が低下する山間部であっても、防寒設備がない状態で冬を過ごすことができるのです。
それでも、さらに気温が低下する北海道では野生種のニホンミツバチが確認されておらず、養蜂農家も冬場は本州に巣箱を移しているくらいです。
セイヨウミツバチをはじめとする他の種は寒さに弱いため、日本での生育に適しているとはいえないのです。
気温の高いタイはミツバチ向き
これに対して、タイは基本的に熱帯に属していますので、年間を通じて気温は高くなっています。一番平均気温が低い時期であっても、25度を下回るようなことはないので、寒さに弱いミツバチが活発に活動できる下地は整っています。
また、気温が高い状態で安定しているということは、年間を通じて何らかの花が咲いており、ローヤルゼリーの原料である花粉や花の蜜の入手が可能だということです。
さすがに乾季には花が少なくなりますが、日本のようにミツバチが動きにくくなるほど気温が低下するわけではありませんので、年間を通じてローヤルゼリーの採取が可能だというわけです。
「脱農薬」で注目される養蜂
これに加えて、タイでは「脱農薬」の動きがあり、養蜂が注目されています。タイにおいても農作物の生産に農薬が用いられ、食の安全の面から問題になりつつありました。
そこに養蜂を導入することで、作物の受粉率アップによる収穫量上昇が着目され始めたというわけです。
ミツバチを育てるためには農薬を使用してはならないということもあり、無農薬で作物を育てた結果、高い価格で売ることができたという例も報告されているくらいです。
タイ産ローヤルゼリーのメリット・デメリット
では、タイ産ローヤルゼリーのメリット・デメリットとしてはどのようなものが挙げられるでしょうか。メリットは価格が安いこと
メリットとして真っ先に挙げられるのは、購入価格が安いことです。国産ローヤルゼリーの場合、最低でも8000円台、高価なものだと1万円を超えるものも珍しくありません。
これに対してタイ産ローヤルゼリーは、5000円前後で購入できる製品があるのです。
上述のようにタイの気候が養蜂に適していることと、人件費が安いことがコストを下げる要因となっています。
この価格差は、大きなメリットと言っていいでしょう。
あまり価格が安いと品質面で不安を感じる人もいるかもしれませんが、全国ローヤルゼリー公正取引協議会が定める基準をクリアした製品ならば、そうした点についてもほぼ問題ないと判断できるでしょう。
ただ、激安製品の中には基準をクリアしていないものがあるかもしれませんので、購入前に十分チェックしておきましょう。
デメリットは鮮度に不安があること
ただ、タイ産ローヤルゼリーにはデメリットも存在しています。それは、日本までの距離があるため、輸送に時間がかかって鮮度が低下してしまうことです。
特に生ローヤルゼリーは巣から採取したローヤルゼリーを瓶詰めしているだけのうえ、熱や紫外線などに弱いので、冷凍保存しておかなければ鮮度は保てません。
購入後も、冷蔵庫のチルドルームでの保管が推奨されているほどです。
国産ローヤルゼリーが高くても売れるのは、生産地からの距離が短く、鮮度が保ちやすいというメリットがあるためです。
これに対してタイは、日本国内はもちろん、ローヤルゼリーの主な輸入先である中国や台湾と比較しても日本までの距離があるため、鮮度を保つことが難しいのです。
現時点でタイ産ローヤルゼリーが中国産ほどのシェアを得られないのは、国土の広さの違いからくる生産量の差に加え、運送距離の長さが影響しているのかもしれません。
まとめ-コストは安いが鮮度には疑問あり
ローヤルゼリーの産地としてのタイは気候がミツバチ向きであるため、今後のローヤルゼリー生産にも期待が持てそうです。タイ産ローヤルゼリーは入手コストが安いという大きなメリットがありますが、輸送距離が長いので鮮度を保つことが難しいというデメリットがあり、その点をどう判断するかは意見が分かれるところでしょう。